アルピーヌのチーム代表を務めるオットマー・サフナウアーが、F1で戦う上で必要なインフラの整備費用はバジェットキャップ(チーム予算上限)の枠外として認められるべきだと主張した。
■今季は苦戦を強いられているアルピーヌ
2022年にはビッグ3と呼ばれるレッドブル、フェラーリ、メルセデスに次ぐコンストラクターズランキング4位でシーズンを終えたアルピーヌだが、2023年はここまで非常に苦しいレースが続いている。5レースを終えた時点でアルピーヌが獲得できたのはわずか14ポイントで、コンストラクターズランキングも6番手に位置している。
こうした中、最近、アルピーヌのローラン・ロッシCEOが、2022年からチームを率いている58歳のサフナウアーを名指しで批判するといった状況も生まれている。
■苦戦の原因のひとつは旧式シミュレーター
だが、サフナウアーは、自分たちが現在苦しんでいる理由のひとつは、イギリスのエンストンにあるアルピーヌのファクトリーに設置されているシミュレーターが古いためだと主張している。
「ほかのチームは、我々よりも優れたシミュレーションツールを持っているんだ」
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』にそう語ったサフナウアーは次のように続けた。
「我々は通常、完璧なセットアップを見つけるまでにコース上でもう少し時間が必要なんだ」
「我々の現在のシミュレーターは15~20年前のものなんだ。それはマクラーレンの旧式モデルだよ」
「我々は1か月前に最新のシミュレーターを発注したが、それを手にできるのは1年半から2年後なんだ。そうしたものを建造するにはそれだけの時間がかかるということだよ」
■インフラ整備費用はバジェットキャップの枠外にするべき
そして、サフナウアーは、チームが強いライバルに追いつこうとしても、バジェットキャップの存在によって必要なインフラ設備の増強も自由にできない状況となっていることが問題なのだと次のように続けた
「必要な投資がバジェットキャップに該当しないよう、FIA(F1統括団体の国際自動車連盟)と話し合わなくてはならない」
「そうでなければ、既存のインフラに縛られることになってしまう」
「2026年に向けて、我々は新しいトランスミッションのテストベンチを造らなくてはならないが、それによってほかの対策を講じる余地がないんだ」
「特定のプロジェクトはバジェットキャップの枠外にするべきだよ。例えば、例外として認められたアストンマーティンの風洞のようにね」
「もし、あれが予算の範囲内であったなら、決して実現しなかっただろう」
■ライバルチームからの人材引き抜きも必要
サフナウアーはさらに、アルピーヌにはライバルチームからもっと多くの人材を獲得する必要もあると主張している。
「だが、それには時間がかかるんだ。チームを助け、効果を生むことができる人は普通長期契約を結んでいるからね」
「アストンマーティンは、レッドブルとメルセデスから多くの人材を招き入れている。そして、それは今誰もが話題にしているダン・ファローズ(テクニカルディレクター)やエリック・ブランダン(副技術責任者)だけではない。あの当時、誰が彼らを選んだと思う?」
2021年まではアストンマーティンのチーム代表を務めていたサフナウアーはそう語ると、今季ここまでは後退した状況とはなっているものの、アルピーヌが掲げた“100レース計画”を予定通り進めていくつもりだと次のように続けている。
「我々にはまだ75レース残っている。それはおよそ3年半だ。新しいインフラをこの間に整える必要がある」
「そして、そこから、我々は次のステップに進むことになるんだ」