正代(左)を突き出した貴景勝(TOKYO-SPORTS)正代(左)を突き出した貴景勝(TOKYO-SPORTS)

 大関の意地を見せられるか。大相撲夏場所8日目(21日、東京・両国国技館)、カド番の貴景勝(26=常盤山)が小結正代(31=時津風)を突き出して6勝目(2敗)を挙げた。休場明けで臨んだ序盤は消極的な相撲が目立っていたが、中盤に立て直して3連勝。大関残留まであと2勝とした。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は貴景勝の復調の要因を分析するとともに、看板力士として一層の奮起を求めた。

 貴景勝が元大関の正代を一方的に突き出して快勝。取組後は報道陣の取材に対応せず、次の相撲に集中した。3月の春場所は綱取りに挑むも、左膝内側半月板損傷で無念の途中休場。その後の回復も遅れて、調整不足のまま夏場所を迎えた。序盤5日間で2敗を喫し、3勝のうち2番は注文相撲と不安を露呈。中盤に入ると一転、力強い押し相撲で3連勝と復調の兆しを見せている。

 秀ノ山親方は貴景勝の序盤の相撲内容について「まだ自分の体調を手探りで確かめている状態で、怖がりながら取っていた。立ち合いでズレてみたり、いなしや引きの技術だけで勝ちにいったり…。結局は自分本来の相撲じゃないからチグハグになってるんですよね。相撲が消極的になっていた」と分析する。5日目に平幕の翔猿(追手風)に2敗目を喫して大関陥落がチラつき始めた中、窮地から立ち直ることができた要因は何か。

「体調に不安がある中で、力を出せる感覚がつかめてきたことが一つ。それと、情けない相撲で負けて覚悟の部分で思い直すところがあったのでは。貴景勝は気持ちを前面に出して良さが出る力士。〝絶対に負けないぞ〟という気迫を出すことによって、体が勝手に反応するようになった。本来の馬力、圧力が戻ってきている」と指摘した。

 序盤でつまずきながらも、カド番脱出まであと2勝。ただ、大関残留だけでは本来の責任を果たしたことにはならない。全勝で先頭を走る横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)の追撃はもちろんのこと、関脇霧馬山(陸奥)ら大関候補の前に立ちはだかる「壁」となることも求められている。

 秀ノ山親方は「もともと責任感は誰よりも強い。勝負に対する厳しさという点では、やはり照ノ富士と貴景勝は別格。このまま優勝争いにも食らいついて、大関の意地を見せてほしい。安易に白星を取りにいかずに泥くさく持ち味を出せれば、さらに一回り大きくなれるはず」と奮起を求めた。

 照ノ富士の休場中は、一人大関として奮闘。1月の初場所では3度目の優勝を果たした。貴景勝にとっては、改めて看板力士としての真価が問われる場所となりそうだ。

秀ノ山親方


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