阪神対広島 5回裏阪神無死一、二塁、大山は左中間に同点3点本塁打を放つ(撮影・上山淳一)(Nikkan Sports News.)阪神対広島 5回裏阪神無死一、二塁、大山は左中間に同点3点本塁打を放つ(撮影・上山淳一)(Nikkan Sports News.)

<阪神7-10広島>◇19日◇甲子園

 阪神大山悠輔内野手(28)は試合後、敗戦という事実だけを静かに受け止めた。「勝てなかったことが全て。プラスもありましたけど、まだまだ課題もある」。とはいえ、虎党に夢を見させてくれたアーチの価値は決して色あせない。メモリアル弾は佐藤輝に譲ったが、4番の球団8001号は甲子園を大いに盛り上げた。

 先頭の代打渡辺諒から4連打で3点差に迫った5回無死一、二塁。押せ押せムードの中、右腕ケムナのボールゾーンに沈む138キロスライダーをすくい上げた。「点差があっても誰も諦めていませんでした」。左中間へ伸びる打球に左翼西川の足が止まった瞬間、球場は大歓声。一時は試合を振り出しに戻し、ナインの士気をさらに高めた。

 一方、反撃ムードを作ったのは3番ノイジーだった。5点を追う3回2死、左腕玉村の内角寄りチェンジアップをとらえ、左翼席に3号ソロを運んだ。「展開的にもまずは1点返したかった。甘い球を逃さずにコンタクトすることができた」。この球団7999号がなければ、その後の猛追はなかった。

 そんな助っ人も敗戦後は唇をかんだ。1点を追う7回の最終打席で右飛に倒れ「(3回の)スイングを最後の打席に打つことができたら…。チームとしても、なんとか逆転したかったところ。勢いも与えられたのかなと思うと悔しい」。25打点でリーグ2位タイにつけた大山も「明日しっかりやり返せるように頑張ります」と力を込めた。

 5点差を2度も追いついた。だが、甲子園では球団6シーズンぶりのクリーンアップそろい踏みアーチは、結果的に空砲に終わった。次戦こそ得点を勝利につなげたい。

【波部俊之介】


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