寄り切りで北勝富士を下した明生(右)=両国国技館(撮影・斉藤佳憲)(株式会社 産経デジタル)寄り切りで北勝富士を下した明生(右)=両国国技館(撮影・斉藤佳憲)(株式会社 産経デジタル)

大相撲夏場所4日目(17日、両国国技館)東前頭6枚目の明生(27)が北勝富士(30)を寄り切って、初日から4連勝とした。4場所連続休場明けの横綱照ノ富士(31)は平幕翔猿(31)をきめ出して4連勝。かど番の大関貴景勝(26)は遠藤(32)をはたき込んで3勝目を挙げた。新関脇若元春(29)は小結琴ノ若(25)との全勝対決を制し、関脇大栄翔(29)とともに4連勝。勝ちっ放しは平幕朝乃山(29)を加えて5人。

動きに無駄がない。鮮明にして端的。明生が北勝富士を破り、令和3年初場所以来の初日から4連勝。立ち合いから押し込み、体を左に開いていなし。相手の体勢を崩して右差し、左上手を取って寄り切った。

相手がよく見えるそうで、「体が動いている。集中もできている」。

3月の春場所を終えた後、右目を手術した。ここ数年は睫毛乱生(しょうもうらんせい)、いわゆる「逆(さか)まつげ」に悩まされ、入院して4月の春巡業を休んだ。下まぶたのまつげが眼球を傷つけ、強い違和感と視力も落ちていたという。

光がまぶしく感じ、急な頭痛に襲われるなどストレスも抱え込んだ。医師からは「放っておくと見えなくなる」と指摘され、不安も増幅。小結だった1月の初場所、春場所はともに5勝どまり。「何とかしないとまずいと思って…。もう違和感はない。(術後は)痛みが減ってよかった」。

眼疾といえば、最多連勝記録(69連勝)を誇る不世出の大横綱双葉山は6歳のとき、友人といたずらをしていた際に右目を痛め、1年間ほど治療を受けたが、現役時代はほぼ視力を失いながら土俵へ立った。自身の著書「相撲求道録」には、勝負師としてできるだけ目に頼らぬように、相手にそれを悟られないように心掛け、ついに「心身一如でみる」という境地にたどりつく。

もちろん、快癒に向かった明生とは深刻さの軽重はあるものの、自らの盲点や不安に向き合った時間は無駄にはならないだろう。平幕の勝ちっ放しは早くも元大関の朝乃山と2人しかいなくなった。曇りのない速攻で、視界が開ける。

(奥村展也)


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