大相撲夏場所3日目(16日、東京・両国国技館)、新関脇の若元春が大関経験者の正代を土俵際で突き落とし、3連勝した。役力士らしい雰囲気も出てきた29歳の「新鋭」。序盤で勢いに乗ることができれば、当たるスポットライトがさらに強くなる可能性を秘めている。

◇正代に先場所の雪辱

 正代には先場所、立ち合い負けした。左を差されて出足の圧力をまともに受け、いっぺんに寄り倒された。5日目から3連勝したところで喫した完敗だった。

 「きょうはしっかり当たろうと思った」という。意識した通りの立ち合いだった。前日は翔猿を一気に吹っ飛ばしている。

 だが、正代の当たりも強かった。左四つになっても圧力を受け、すぐに攻められない。左で振られて右を巻き替えられ、もろ差しを許しかけた。

 もう一度左を巻き替えにいったところ、定石通り出てきた正代を、向正面の土俵際、右上手でひねりながら左で「イチかバチか」の突き落とし。「褒められた相撲じゃないけど、まあ何とか」と息をついた。

◇全治5カ月の弟へ「励みになれば」

 小結で9勝、11勝と続けて関脇に名を連ねた。新入幕から8場所、まだ1場所しか負け越しがない。「何とか幕内で積み重ねてきたので少しずつ自信になっている」という。新三役当時の、どことなく荷が重そうな雰囲気はもうなくなった。土俵入りの拍手でも、観客の「認知度」が分かる。

 今場所は関脇でもその力を確信したい。そのために「左四つからの攻めが遅いから巻き替えられる」「白星をつかむだけじゃ駄目。内容を良くしていかなければ」と、反省の言葉も続いた。

 先に関脇を務めた弟の若隆景と史上4組目の兄弟関脇が実現したが、若隆景は春場所で右膝に重傷を負った。4月に前十字靱帯(じんたい)の手術を受け、この日出された術後の診断では、さらに5カ月の治療を要するという。「弟の分も取れるとは思っていないんで、少しでも励みになれば」と若元春。

 力士の入門年齢が遅くなるにつれ、30歳近い「新鋭」が増えた。その代表格として大関候補にも名が挙がりつつあるが、「まずは今の番付をしっかり全うするために取り切らなきゃいけない」と自分に言い聞かせている。(時事通信社 若林哲治)


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