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◇16日 大相撲夏場所3日目(両国国技館)

 行司の軍配は琴恵光に上がったが、攻めていたのは朝乃山。際どい勝負に藤島審判長の手が挙がる。物言い。「負けだと思ってた」という朝乃山だったが、協議の結果は軍配差し違え。9場所ぶり再入幕の朝乃山が、初日から3連勝となる白星を手にした。

 右を差し、168キロの体を生かして一気に攻めたが、まわしをつかんでいなかったことを「ほんとに勉強不足。というかアホですね」と自分を責めた。「(勝っても)うれしいとは思わない」と反省の言葉しか出なかったが、「無意識かもしれない」と土俵に落ちるときにたたんだ左腕が執念の白星を呼び込んだ。

 2021年の夏場所中に新型コロナウイルスのガイドラインに違反し6場所出場停止に。大関から三段目まで番付を落としたが、ようやく幕内に帰ってきた。ここからが本当の勝負となる。

 初日に富山から国技館まで足を運んだ母・佳美さんに、その勇姿を見せることができた。ちょうど母の日。「母の日に勝ててよかった」。取組からの帰りに会って伝えることができた。

 朝乃山が「一番、復活を見たかったと思う」という父・靖さんは出場停止中の21年8月に亡くなっている。その2カ月前に父から送られてきたメッセージは、今も大切に保存している。

 朝乃山が「誕生日おめでとう」と父にお祝いのメッセージを送ると、靖さんは「1年間はあっという間だよ。その後が大事だから頑張れ」と送り返してきた。「今でも残っています。消してはないので。不意に見たりしますね」。まだまだ復活の道半ばだと、教えてくれる。

中日スポーツ


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