(バスケット・カウント)(バスケット・カウント)

ナゲッツの中心はニコラ・ヨキッチであり、ジャマール・マレーであり、マイケル・ポーターJr.という生え抜きの選手たちだ。しかし、優勝を狙うにはそれだけでは足りない。相手の長所を封じるディフェンス、インテンシティの高さ、どんな試合展開にも応じられる戦術の引き出しの多さ、経験といった部分を補う必要がある。

ナゲッツのカンファレンスファイナル進出は、2019-20シーズンの『バブル』のプレーオフ以来。この時はその後に優勝するレイカーズに1勝4敗で敗れている。勢いはあったが他の様々なものを欠いていたチームは、ケガの多かった2年間を経て、その多くを補ってきた。

その顕著な例がウイングディフェンダーだ。ケンテイビアス・コールドウェル・ポープとブルース・ブラウン、ウィザーズとネッツで過小評価されていた実力者を昨年オフに獲得し、さらには同じタイプのクリスチャン・ブラウンもドラフトで指名した。KCPことコールドウェル・ポープは先発で、残る2人はベンチスタートで、相手のキーマンにスペースも時間も与えない猛烈なプレッシャーを掛ける仕事をこなしている。

サンズとのカンファレンスセミファイナルが始まる時点で、勝敗を分けるカギはデビン・ブッカーとケビン・デュラントをどう抑えるかで、そのキーマンはKCPと目されていた。シリーズを通して彼はブッカーのマークを担当。絶好調のブッカーはどれだけ圧力を掛けても、それを乗り越えて大量得点を奪ったが、KCPの働きは無駄にならなかった。

KCPのブッカー対策は第5戦からさらに強化され、試合を通してほとんどの時間帯でフルコートで付くことになった。「あれは僕の判断だ。シリーズを通して平均40得点してくる相手だから、シュートを打って来るのは分かっていた。タフなショットも決めてくるけど、レイアップやイージーシュートはやらせない。ドライブに来たら何度も激しくコンタクトして、僕の存在を分からせる。最初から最後まで彼に『厳しい』と感じさせたかった」とKCPは語る。

「彼を守るのは簡単じゃないけど、フィジカルにやり続ければ消耗させられる。それは僕らにとってプラスだ。僕としては、こういう1対1は大好きだしね。『君のオフェンスと僕のディフェンス、楽しもうぜ』って感じ」

第6戦、ナゲッツのディフェンスはまた改良が加えられた。KCPのフルコートプレスは変わらず、チームはブッカーとデュラントにより多くのダブルチームを仕掛けた。これが機能してデュラントはフィールドゴール19本中8本成功の23得点と平凡な出来に、ブッカーは13本中4本成功の12得点と不発に追い込んだ。

「僕だけじゃないよ。クリスチャンもブルースもプレッシャーを掛けた」とKCPは言う。「絶対に勝つという気持ちで臨んで、自信とモチベーションを得ることができた。だから気分は良いけど、まだ先は長い。僕らは16試合に勝たなきゃいけなくて、まだ半分だ」

シリーズに決着を付けた第6戦ではブッカーを12得点に抑えただけでなく、ディフェンス専任であるはずのKCPが21得点を挙げた。特に第1クォーターで17得点を固め、チームを勢いに乗せた働きは大きい。「シュートを打つ機会がそれほど多くないからね。僕がレイアップを決めると、みんな『今日は20得点行けるぞ! 』とか冗談を言うんだけど、今日はそれが本当になった。それはともかく、今日は攻守ともすべてのプレーでアグレッシブに行くと決めていたんだ」

KCPは3年前、『バブル』のプレーオフでチャンピオンリングを手に入れている。その時にプレーしていたレイカーズが、カンファレンスファイナルの相手となる。KCPは言う。「バブルの時とは違って観客がいて、盛り上がるのは間違いないね」

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